音速測定を用いた樹木内部欠陥診断

概要

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樹木の倒伏や折損を引き起こす樹木内部欠陥を診断する方法の一つとして幹放射方向の音波伝達速度測定を行い、測定条件などを検討した。生立木の幹放射方向については7科34種の音速測定を行った。樹種による音速の違いは認められ、カエデ科では4種が1,100〜1,300m/Sと近似したが、カバノキ科やモクセイ科では25〜30%の違いがあった。空洞などの欠陥を有する木では音速の低下が認められたが、腐朽菌による初期の材の変色ではあまり低下せず、樹皮の傷ではむしろ早くなる傾向が見られた。全試料をまとめると幹の直径が大きくなるにつれて、音速が早くなる傾向があった。一本のイタリアポプラの幹においても直径の小さい幹上部に向かって音速の低下が認められた。玉切りした丸太や木口面に人工的に空洞を作った丸太を試料として空洞の位置による違いを求めたところ、樹芯(髄)付近の空洞は広範囲に音速低下をもたらすが、樹芯をずれた空洞では音速低下の範囲が狭かった。このことから、目視で内部欠陥の予想をしない場合には、探触子取り付け位置は少なくとも等間隔で3方向以上必要であると孝えられた。
樹木医学会の論文
1997-09-30