ドイツ企業人材の専門的業務能力と学校教育課程との継続性 : 環境保全管理責任者の事例から
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概要
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本稿は、ドイツにおける環境保全専門家の業務能力がその資格取得のために学んだ学校教育課程での教育内容とどのような継続性を示しているか、大学等高等教育課程での専門性が就職後の職場での業務能力にどのように結びついているかを検討したものである。一般的にドイツにおける専門性を習得させる大学等高等教育段階での教育方針と、ドイツとは対照的なわが国大学等高等教育段階でのより広範囲な学習を旨とする人間教育、教養教育重視的姿勢の違いが、現在わが国に進行している若年者の就業環境・雇用環境の変化・多様化を前にして、どのような課題対応施策が求められるか、を検証するものである。そこでは、企業従業員として雇用・配置が法的に義務つけられている企業内環境保全管理責任者がどのような大学教育あるいはそれ以前の職業教育課程をへてその専門性を習得しているか、わが国の企業内OJTによる方法とは幾分異なるドイツの人材養成事例を追究したつもりである。 ところでここでの比較はけっしてその是非、適否を云々するものではないことをお断りしておきたいと思う。従来型のわが国若年者の就業能力の習得は、就職後の企業内OJTを主体とする企業内教育に大きく依存するものであった。このわが国における正規社員を中心とする学校-職場間移行上のスムースさが今まさにさまざまな要因から崩壊しつつあるのである。今や、正規社員以外の道に進んだ若年者の就業能力を習得させる教育機会をどの段階で求められるか、等の課題は極めて重いはずである。本稿で紹介したドイツの事例はそれ自体課題も多くあり、あくまで参考に過ぎないものであるが、今後の若年者の就業問題を抱えて、避けては通れない重要な課題であろうと思われる。
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