授業研究における矛盾把握に関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
矛盾は弁証法の中心概念である。それゆえ弁証法研究では,弁証法と他の思考方法との関連やそこでの独自性を明確にする際に争点ともなってきた。本論では,まず,わが国の弁証法研究における矛盾をめぐる論争を概観し,矛盾把握をめぐる対立点を明らかにする。また矛盾は,教育学研究および実際の授業を対象としながら授業の改造を試みようとした授業研究においても重要な役割を担ってきた概念でもある。本論文後半では,広島県北地域で開催された全国授業研究協議会全国大会において公開された授業をめぐる評価のなかに,弁証法研究における矛盾把握をめぐる対立構図が暗黙のうちに下敷きにされていたことを指摘する。大学などの研究機関に所属する研究者と各種学校で授業を行っている教師との共同研究体制の確立に対して,全国授業研究協議会を中心とした授業研究運動は大きな影響を与えたと考えられる。この認識に基づき本論文は,形式論理学と唯物論的弁証法の関連づけから端を発した弁証法研究における論争のなかで対立する矛盾把握のそれぞれが,授業研究の対象の限定およびその発展の方向性の把握に与えた影響について検討することを最終的な目標として設定している。
- 日本教育方法学会の論文
- 2003-03-31
著者
関連論文
- 授業における共同探究過程成立を志向した教材開発の試み(2)
- 授業における共同探求過程成立を志向した教材開発の試み(1)
- 教授学研究における問題群としての「教育的関係」に関する一考察
- 授業研究における矛盾把握に関する一考察
- 授業構成原理としての「自己活動」の再検討 : 「自己活動」における教育的パラドックス