ジャワ島チャリタにおけるウスキシロチョウの移動飛翔の観察
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概要
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1982年10月から11月にかけて,インドネシアのジャワ島西海岸にあるチャリタ村を,それぞれ2〜3日という短期間ではあるが,4回訪れる機会を得た.4回目に訪れた11月16日と17日の午前中に,多くのウスキシロチョウCatopsilia ponoma ponoma(FABRICIUS)が南東から北西に向けて,1〜3mの高さのところを移動飛翔するのを観察した.16日の午前9時25分から40分までの15分間に,185個体が観察地点から森までの間にある幅30mの畑地を横切るのが数えられた.移動個体の中にはギンモン型とムモン型の両方の雌雄が含まれていたが,Catopsilia pyranthe pyranthe(L.)は混入していなかった.移動飛翔は午前8時30分頃から始り,午後1時頃まで見られたが,午後になると,Cassia属の木のまわりを飛翔する個体が多くなった.両日とも晴天で,気温は30℃〜34℃,海(西)から陸(東)への微風があった.WILLIAMS(1930)によれば,本種の移動飛翔は季節風の吹き始める時期と一致しており,これまでの観察例は,主として,11月から2月の間に多く,6月から9月までの記録はないという.とくに,ジャワ島では1月を中心とした雨季に観察例が多いことを山田(1973)は指摘している.今回,筆者が観察したのは11月であり,丁度,この地方の季節風が西から吹き始め,雨季に入った直後のことであった.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1983-07-20
著者
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