イチモンジセセリの移動に関するアンケート調査の結果
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概要
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イチモンジセセリParnara guttataは,初秋に多数の成虫が一定方向に移動することで良く知られている.これまでに多数のナチュラリストによる移動の記録があり,これらは山下(1955),日浦(1973,1980)によってまとめられている.それによると,移動現象は北は福島から西は山口までの間にのみ観察され,この種が普遍的に分布する四国では唯1例の報告しかなく,九州と琉球列島にいたっては観察例は皆無である.本種の移動をめぐって,最近,個体群生態学や生理学の立場から新しく研究が行われているが(ISHII and HIDAKA,1979; ONO and NAKASUJI,1980;NAKASUJI et al.,1981),しかし,未だ多くの問題を残している.四国・九州・琉球地方では本当に移動をしていないのか,それとも移動はしているが何らかの理由で観察され難いだけなのか,を明らかにすることは,本種の移動の意味を考える上で非常に重要な問題である.そこで筆者等は1979年,西南日本各地の日本鱗翅学会会員221名と,大学農学部や農事試験場の害虫研究者29名の方々に,アンケートによる調査をお願いした.回答依頼内容は,(1)移動のみられた日付と場所,(2)天気,(3)時刻,(4)風向,(5)移動方向,(6)移動の規模で,7月25日に発送した.不幸にも1979年は,全国的にイチモンジセセリの移動は軽微にしか起らなかった年のようであり,回答も少なかったが,なお貴重な情報を含んでいるので報告しておきたい.はじめに,筆者等の要望を容れられ,わざわざ回答下さった次の23名の方々に厚くお礼申上げる.安部琢哉・福田正・行徳直巳・平尾重太郎・久川健・市川俊英・河合まり・小林義徳・栗林慧・宮原和夫・宮武頼夫・永井彪・仲盛広明・中村慎悟・岡部正明・住田紘・田中洋・竹東正・山野忠清・山下善平・矢田脩・淀江賢一郎・吉岡幸治郎の諸氏(ABC順).
- 1982-03-25
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