熱と日光が真珠のコンキオリンに及ぼす影響と真珠品質の非破壊による判定
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概要
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アコヤガイ真珠をはじめとする多くの真珠では,熱や日光などのさまざまな要因による品質の劣化が知られている.本研究では,熱および日光がアコヤガイ真珠に含まれる真珠層基質タンパク質(nacreous shell matrix proteins,NSMPs)に及ぼす影響を,254nmにおける分光反射率R_<254>の値と282nmにおける分光反射率R_<282>の値の比R_<254/282>の変化量と340nmにおける蛍光強度値FI_<340>の変化量を指標として調べた.その結果,日光照射による処理(250W/m^2,768時間)ではR_<254/282>とFI_<340>が共に大きく減少した.また,熱処理(100℃,768時間)ではR_<254/282>の減少はさほど大きなものではなかったが,FI_<340>の減少は日光照射による処理とほぼ同程度に大きなものであり有意な差が認められた.アミノ酸組成の分析結果からも,芳香族アミノ酸の変化として熱処理ではチロシンだけが18%減少したのに対し,日光照射処理ではトリプトファンが78%,チロシンが33%ときわめて大きく減少するといった違いがあることから,熱および日光照射がNSMPsに及ぼす影響の作用機作は異なっていると推察された.そしてR_<254/282>とFI_<340>を用いたNSMPsの性状評価を行うことによって真珠の劣化状態の差異を判定することが可能であることを示した.
- 2010-08-25
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