ネパールおよびインド亜大陸からのカバナミシャク属(鱗翅目,シャクガ科)の追加記録

概要

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これまで著者らは東アジアから南アジアのカバナミシャク属について一連の調査をし,台湾(Mironov and Galsworthy,2007),ヒマラヤ西部(Mironov,Galsworthy and Ratzel,2008a,b,c),および東南アジア(Mironov&Galsworthy,2009a,b)の記録を再検討してきた,本論文では,これらで取り扱わなかったインド亜大陸部の同属標本を再検討し,13新種を含む34種を見出した.13新種はEupithecia lusoria sp.n.,E.rulena sp.n.,E.superata sp.n.,E.himalayata sp.n.,E.claudei sp.n.,E.nervosa sp.n.,E.spinibarbata sp.n.,E.fibigeri sp.n.,E.filia sp.n.,E.laszloi sp.n.,E.singhalensis sp.n.,E.kama sp.n.,E.idaeoides sp.n.であり,成虫標本と交尾器形態の図示を添えて詳細に記載した.本研究で取り扱った種のうち,知見の少ない10種については追加の標本が得られたため,E.asema Hampson,1891,E.lactibasis Inoue,2000,E.coccinea Vojnits,1981,についてはオス交尾器を,E.albifurva Hampson,1907,E.liberata Inoue,2000,E.apparatissima Vojnits,1988,E.maculosa Vojnits,1981,E.vojnitsi Inoue,2000,E.fessa Mironov&Galsworthy nom.n.はメス交尾器を,E.infestata Swinhoe,1890は雌雄交尾器を図示し,再記載した.これらのうちE.fessa Mironov&Galsworthy nom.n.は,インドの標本から記載されたE.pallescens Inoue,2000が,Dietze(1910)によって中央アジアから記載されたE.sinuosaria f.pallescensのホモニムとなるため置換名として提唱した.また,以下の3種については新たにシノニムであることを認めた.中国から記載されたE.gibbosa Mironov&Galsworthy,2004(模式産地:中国湖北省)をE.costipicta Warren,1893(模式産地:シッキム)のシノニム,E.bini Vojnits,1981(模式産地:ネパール)をE.raniata Prout,1958(模式産地:ダージリン)のシノニム,Eupithecia subviridis Vojnits,1983(模式産地:ネパール)をSyncosmia trichophora(Hampson,1895)(模式産地:インド・ニルギリ)のシノニムとして整理した.つづいてInoue(2000)によってE.rubridorsata Hampson,1895のシノニムとされたE.discolor Vojnits,1983は追加標本による再検討の結果,別種と判断されたため有効名とした.さらに,本調査域で新たに以下の7種の分布を確認した.国別に挙げるとインドからE.anasticta Prout,1926,ネパールからE.barteli Dietze,1908,E.interrubrescens(Hampson,1902),E.jezonica Matsumura,1927,E.latimedia Hampson,1895,E.lineosa Moore,1888を初記録した.加えて,E.ruficorpus Warren,1897がインドとネパールの両方に確実に分布することが分かった.Inoue(2000)はE.ruficorpusをネパールから記録したが,E.albicans Vojnits,1981を本種のシノニムと考えていたため,実際に調べた標本はすべてE.albicansであった.著者ら(Mironov,Galsworthy and Ratzel 2008a)はE.albicansを有効名として復活させたが,今回E.ruficorpusと同定できるネパール産3個体を確認した.
2010-07-30

ネパールおよびインド亜大陸からのカバナミシャク属(鱗翅目,シャクガ科)の追加記録

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