Eupithecia atrisignis(シャクガ科ナミシャク亜科)とその近縁種の同定ならびに新種の記載
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概要
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Eupithecia atrisignis Butler, 1889はインド北西部のDharmsalaから記載され, ヒマラヤから台湾にかけて数種の近似種を擁するが, それらの同定は必ずしも適確にはなされていなかった.本報ではこれらを整理し, E. atrisignis種群を定義するとともに, このグループの1新種とE. inepta-sacrosancta種群に属する1新種を記載した.本種群の6種と別群の1新種は以下の通りである.Eupithecia atrisignis Butler, 1889インド北西部から北東部, ネパール, ブータン, ミャンマー北東部, 中国南西部に分布する.E. circumacta Prout, 1958, E. forsteri Vojnits, 1983およびE. profana Vojnits, 1984を本種のシノニムとした.Eupithecia tricrossa Prout, 1926インド北東部, チベット, ネパール, ブータン, ミャンマー北部に分布する.E. multa Vojnits, 1981を本種のシノニムとした.Eupithecia albibaltea Prout, 1958インド北東部から記載され, 大英自然史博物館には模式標本を含む10頭以上の標本があるが, 近年の材料は見ていない.Eupithecia pyricoetes Prout, 1958インド北東部, ネパールに分布する.最近本種のシノニムとされたE. dierli Vojnits, 1983は, そのホロタイプ(♀)の交尾器からは別種と考えられる.なお, ♂パラタイプの交尾器から見ると, E. dierliは本種群には属さない.Eupithecia nuceistrigata Bastelberger, 1911この種群のうち台湾に産する唯一の種である.Eupithecia garuda Galsworthy & Mironov(新種)インド北東部, ネパール, タイ北部に分布する.Inoue (2000)によりE. tricrossaとして記録された種であるが, 特に♀交尾器ではこの群のいずれとも明瞭に区別される新種である.なお, E. tricrossaのシノニムとされたE. suspiciosa Vojnits, 1983は♀交尾器の相違から独立種と判断される.E. suspiciosaもE. atrisignis種群に属すると考えられるが, その扱いは♂の発見まで保留しておく.Eupithecia inoueata Galsworthy & Mironov(新種)ブータン, ネパール, インド北東部に分布する.Inoue (2000)によりE. atrisignisとして記録されたが, E. inepta-sacrosancta種群に属する新種である.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2005-06-20
著者
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MIRONOV Vladimir
Zoological Institute RAS, Universitetskaya nab.
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Galsworthy Sir
The British Museum (natural History)
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Mironov Vladimir
Zoological Institute Ras
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Mironov Vladimir
Zoological Institute Ras Universitetskaja Nab
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Galsworthy Anthony
The British Museum (Natural History)
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