イノベーションの地理学の動向と課題 : 知識,ネットワーク,近接性
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概要
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近年,技術的イノベーションを地理的視点から考察する研究が,地理学および隣接分野において注目を集めている.本稿は,そうした研究を展望し,研究手法や説明枠組みによって整理した後,イノベーションを産業集積論や都市論との関連から検討した.結果は,以下の3点に要約される.第1に,イノベーションの地理的考察は,特許や論文を用いて知識のスピルオーバーやネットワークを捉える定量的方法から,質問票やインタビューによる質的方法までさまざまな手法で行われており,それぞれの長所と短所を認識し,相互に補完的な方法として多角的な考察をすることが必要である.第2に,制度や組織のあり方,技術の性質,距離や領域などの地理的要素という3つの相互依存的関係を認識し,かつ実証研究によって検証することが有意義であろう.第3に,都市や集積をイノベーションの文脈で考える際には,近接性だけでなく多様性,流動性と外部との結合性という要素が重要になる.
- 2005-09-30
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