産炭地域振興対策の終了過程における地域の視点からの議論 : 国会審議の分析から
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概要
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産炭地域振興対策は2001年度末をもって40年の歴史を閉じた.本稿では,国会審議等「中央の論理」と「地方の論理」がぶつかり合う場における産炭地域振興対策終了に際しての議論を分析した.産炭地域振興対策の終了を前に,2000年度及び2001年度に行われた国会審議においては,対策の効果や評価よりも激変緩和措置,特に公共事業に関わる制度など国から資金が流れる制度に対しての関心が高い一方で,地域の発展につながる具体的な振興策への関心は低かった.すなわち産炭地域振興対策は,当初想定されていた構造調整対策としての地域振興という役割がうすれ,地域が公共事業を獲得するなど国から資金を得るための手段へと実質的な役割を変えていた.制度廃止に際して講じたサンセット型の激変緩和措置は,こうした地域の関心事項に適合しており,産炭地域振興対策廃止に対する産炭地域の抵抗感を小さくする効果があった.産炭地域振興対策は国会審議を経で円滑に終了したが,その要因としては地域の要望に配慮した激変緩和措置がとられたこと,制度本来の目的が実質的に達成されていたことが大きかった.
- 経済地理学会の論文
- 2005-06-30
著者
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