ブリコラージュ実践の共同体 : マダガスカル、ヴェズ漁村におけるグローバルなフローの流用(<特集>「グローバリゼーション」を越えて)
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概要
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グローバリゼーションが日常化していくなか、個人と世界を媒介する共同体の役割があらためて見なおされつつある。本稿では、マダガスカル南西部ヴェズ漁師の漁法開発と漁撈実践をとりあげ、閉鎖的でも脆弱でもない共同体のありかたを考察した。ヴェズ漁師たちは、手もちの素材や道具、技能、実践経験を適宜組み合わせながら漁法開発をおこなう。こうしたブリコラージュは、不断の状況変化のなかでくり広げられる漁撈実践の延長である。つまりヴェズ漁師の漁法開発は、ルーティンの図式とともに状況対処能力を習得できるような正統的周辺参加にもとづいているのである。このように実践をとおして状況対処能力が得られるような共同体を、本稿では「ブリコラージュ実践の共同体(CBP)」と呼ぶ。CBPは、グローバリゼーションという状況のもとで、通常の実践共同体よりも柔軟に変化するが、実践共同体の性格を有するがゆえの限界もある。その限界をふまえつつ、グローバリゼーションという流動的な状況のなかで共同性を創出していく試みは、文化人類学の重要な主題となろう。
- 2010-06-30
著者
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