日本産Monochroa属についての追加記録
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概要
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Sakamaki(1996b)において日本産Monochroa属11種がまとめられたが,その後の筆者らの調査でさらに2種類が採集された.また,その他にも新たな標本を加えて検討をしたところ,これまで未知であったウスイロフサベリキバガの雄と判断される標本を2頭得た.これらの形態・生態的特徴は以下のとおりである.Monochroa lucidella(Stephens)(Figs 1,3,4)キモンキバガ(新称)本種は外見上,Eulamprotes属のキモンアカガネキバガに似るが,前翅中央部から基部を占める不明瞭な黄色い斑紋があることや開張が一回り大きい(開帳13.5-14.3mm)ことからも一見して,判別可能.同属内に外見が類似した種はなく,特徴的な前翅斑紋および無地褐色の触角等からも容易に識別される.雌雄交尾器の形状からはイグサキバガに近縁と考えられる.日本で幼虫は見つかっていないが,ヨーロッパではカヤツリグサ科のハリイ属(Eleocharis),ホタルイ属(Scirpus)の茎に潜っていることが知られている.旧北区全体に広く分布し,日本では北海道に分布.Monochroa leptocrossa(Meyrick)(Fig.5)ウスイロフサベリキバガ原記載以来本種は雌しか知られていなかったが,今回,外見上の特徴が本種の雌個体と一致する雄個体を2頭得たのでここに雄交尾器の特徴を示した.雄交尾器においては把握器の幅が広く,えぐれがどこにもないことから近縁のホーニッヒチャマダラキバガやミゾソバキバガなどと区別可能.Monochroa conspersella(Herrich-Schaffer)(Figs 2,6,7)サクラソウキバガ(新称)本種は外見上クマタシラホシキバガに似るが,一回り小さく(開帳9.5-11.8mm),暗褐色の触角は末端節にのみ黄土色の輪環を持つことで区別できる.春(5月)にエゾオオサクラソウに潜葉している幼虫を採集した.ヨーロッパでの食草はサクラソウ科のサクラソウ属,およびクサレダマである.旧北区全体に広く分布し,日本では北海道に分布.
- 1999-06-30