コムラサキ越冬幼虫の植氷凍結回避(鱗翅目:タテハチョウ科)
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概要
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北海道産コムラサキの越冬幼虫は-32℃で自発凍結したが,植氷すると-7℃で凍結した.凍結した幼虫は-19℃・24時間までの凍結に耐える能力を有するが,以下のしくみで植氷凍結を回避していた:(1)越冬台座と体側毛列により植氷の起こる腹側への水の侵入を防いでいる,(2)植氷の起こりにくい北東面の樹幹部で越冬する.越冬幼虫は体液中に生体重あたり6.5%のグリセリンと0.5%のトレハロースを含んでいた.リッター層中で越冬するオオムラサキ幼虫の耐寒性も比較のために調べた.本種は耐凍性が弱いにもかかわらず植氷を回避するしくみをもたなかった.オオムラサキ越冬幼虫はトレハロースを1.4%含むが,グリセリンを含まない.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1996-12-01
著者
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星川 和夫
Division Of Environmental Ecology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane University
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星川 和夫
Faculty of Life and Environmental Science, Shimane University
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星川 和夫
Faculty Of Life And Environmental Science Shimane University
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