スギタニルリシジミ休眠蛹の糖代謝と耐寒性
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概要
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本種は年一化性で10ヶ月以上の期間を蛹(蛹内成虫)で過ごすので,ほとんど全ての一次同化は約4週間の幼虫期間に行われることになる.蛹期間における炭水化物(糖,糖アルコール,グリコゲン)の消費をガスクロマトグラフィ等により測定した.蛹あたりの炭水化物含有量は蛹化直後には6.64mg(生体重の11.6%)であったが,その後2週間の成虫体形成期に約70%が消費され,休眠開始時は2.17mg(4.13%)となった.休眠期の炭水化物消費は成虫体形成期の80分の1以下の速度に抑制され,9ヶ月後の羽化直前の蛹でも1.24mg(2.27%)の炭水化物を含有していた.成虫体形成期にはグリコゲンの他,グルコース,イノシトールも滅少し,一方,トレハロースは体重の1.35%まで蓄積した.蛹はこのトレハロース含有量を維持したまま越冬するので,半径はトレハロース蓄積型とみなされるが,その蓄積が休眠開始前であったことは注目される.越冬蛹は厚いワックス層に覆われ,その過冷却点は-15.0℃であった.比較のために分析した多化性のルリシジミの越冬蛹もトレハロース蓄積型であったが,そのワックス届けけるかに薄く,過冷却点は-22.4℃であった.
- 2007-01-10
著者
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星川 和夫
Division Of Environmental Ecology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane University
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米山 沙希
Division of Environmental Ecology, Faculty of Life and Environmental Science, Shimane University
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米山 沙希
Division Of Environmental Ecology Faculty Of Life And Environmental Science Shimane University