レバレッジド・リース取引の測定方法について : FASB No.13の4方法に関連して
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概要
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本論文の研究目的は,ファイナンス・リース取引としてのレバレッジド・リース取引の測定について,レサーの観点から,特にFASB No.13において提示されている,「通常の金融リース法」,「三当事者間金融リース法」,「別個の面を持った投資法」,および「統合的投資法」の4方法の会計理論上の妥当性を検討することである.また,本論文では,ノンリコース・デットは,レサーにとって「償還請求権の行使を受けない債務」であるという,FASB No.13と同一の前提にたって考察する.「通常の金融リース法」は,レバレッジド・リース取引が「レサー」,「レシー」,および「金融機関」の三当事者,リース財産を販売する「メーカー等」,ならびに取引全体を企画し,遂行を調整する「リース会社」により行われる諸取引を不可分一体として遂行されているという実態を写像せず,さらにノンリコース・デットについては,レサーにとって「償還請求権の行使を受けない債務」であるにもかかわらず,これを負債として認識している.したがって,「通常の金融リース法」は,会計理論上妥当とはいえない.「三当事者間金融リース法」は,ノンリコース・デットを負債として認識せず,超過回収資金の運用により得られると予想される利益をリース利益に含めず,税金の繰延効果を考慮しない.この方法は,自己資金のみがレサーによって利益を獲得するための真の投資額を意味し,現実のキャッシュフローを基礎にしてのレサーの純投資額を算定し,それに対する利益率が均一になるようにリース利益を配分するという経済的実質を適切に写像している.したがって「三当事者間金融リース法」は,妥当な測定方法であるといえる.「別個の面を持った投資法」は,「三当事者間金融リース法」の特性に,さらにレサーの純投資額の計算過程に税金の繰延効果というマイナスのキャッシュ・アウト・フローをプラスのキャッシュ・イン・フローとするという仮定を追加した方法である.レサーはリース期間前半に発生する課税所得額以上の利益をレバレッジド・リース取引以外の本来の業務で計上できることが仮定とされており,本来の業務で充分な利益を計上できなくなった場合には,税金の繰延効果は得うれない.したがって,「別個の面を持った投資法」は,会計理論上妥当とはいえない.「統合的投資法」は,「別個の面を持った投資法」の特性に,さらに超過回収資金の運用により得られると予想される利益をリース利益に含め,その金額分だけ過大にリース利益を計上する方法である.このことから,「統合的投資法」は会計理論上妥当とはいえない.
- 日本管理会計学会の論文
- 1999-03-31
著者
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