日本における市民社会論の系譜
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概要
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市民社会は近代社会のあり方を示す独自の概念である。本論文は戦後日本における市民社会概念をめぐる議論を整理し、そこに込められた歴史的課題を明らかにしようとするものである。戦後日本で市民社会を議論した三つの主要な潮流、すなわち、近代化論者(丸山眞男、大塚久雄、松下圭一)、マルクス主義者(林直道、平田清明)、一橋学派というべき社会科学者(大塚金之助、高島善哉)をそれぞれ分別し、彼らの市民社会論の特徴と意義、またその限界を指摘することにより、市民社会をいかに論じるべきかという課題を探っていくことにする。市民社会論がイデオロギー的役割を過度に期待されたのは、近代化の中で社会が国家と家族から自立しなければならないという歴史的課題を人々が喫緊のものと受け止めたからである。だが、市民社会論をイデオロギーにとどめず、社会を分析する概念体系にまで発展させてこそ社会科学の基礎理論としての意義を全うすることができる。本論文で戦後日本の主要な系譜を検討した理由はここにある。
著者
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