サービスとはなにか : 問題の理解と提起をめぐる誤り
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概要
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「サービスとはなにか」という問題は、過去三〇〇年にわたって経済学説史上で議論が重ねられてきた未解決の難問の一つである。この問題を考えるにあたって、「サービス」を「財」との対比の中で考える「二分法」的発想を問い直す必要がある。なぜなら「サービス」の基本とされる特徴も、よく考えてみれば、あくまでも財との対比の中でとらえられた相対的で表面的な特徴にすぎないからである。このことはサービスの概念を感覚的、表面的な観察によってではなく、理論的、本質的な理解に基づいて再構成することの必要性を意味する。そのためには、サービスが行われる場、サービスが担う機能、サービスを行う主体、サービスを享受する主体、サービスが行われる関係といった点が明らかにされなければならない。そうした基準に基づいてマルクスのサービス論を再構成したとき、その問題領域の広がりが明らかになり、また、それで現代のサービス概念との決定的な乖離が明らかになる。そのことは、サービスをめぐる三〇〇年の論争に終止符を打つ決定的な糸口となるものである。
- 一橋大学の論文
著者
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