戦後日本における階級政治の発見 : 問題の提起
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概要
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「階級政治は死んだ」と言われて久しい。本稿は、政治の本質を捉える分析枠組みとして階級政治を復権させようという試みである。まず第一に、階級政治のアクターとしては、資本家階級(財界)、労働者階級、中間階級(農民と都市自営)を考える。第二に、これらのアクターが闘争と連合をどのように行ったかを見ることで、階級政治の内容を考える。第三に、こうした視点に立って戦後日本の政治社会を四つの時期に区分する。第一期は一九四五年から一九六〇年までの戦後復興期、第二期は一九六〇年から一九七三年までの高度成長期、第三期は一九七三年から一九八二年までの低成長期、第四期は一九八二年から現在までの「構造改革」期である。各期を階級闘争と階級連合の視点で振り返ってみると、まず第一期は、職場の経営権をめぐる階級対立の時代、急進化する中間階級を資本家階級が懐柔する方策を模索した、階級連合の模索期である。第二期は、春闘の場で賃金相場をめぐって階級闘争が闘われた時代、中間階級が自民党を支持して資本家階級と同盟関係を結んだ、階級連合の成立期である。第三期は日本的経営へ労働者が統合された時代であり、利益誘導で中間階級と資本家階級との連合が強化された時代である。第四期は政党政治でいう五五年体制の崩壊の時代、階級的な戦略基盤が解体・再編される時代である。これま政治的支持の見返りとして中間階級に与えられていた、競争からの庇護が次々と撤廃されて、中間階級と資本家階級の連合が解消されようとしている時代である。
- 一橋大学の論文
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