有明海湾奥における出水後の低塩分水塊の挙動およびその水質への影響
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概要
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有明海湾奥部において河川出水に伴う低塩分水塊の挙動およびその水質に与える影響を評価するため,大潮時に観測された浅海定線調査資料を観測前の河川流量変動に基づいて整理し統計的に解析した.出水後数日で河川流量が減ずると,低塩分水塊は岸を右に見て反時計回りに伝播し,1週間内には有明海湾奥海域を通過し,諫早湾以南の海域へ流出した.出水が継続する場合には,河川プリュームが湾奥全体に拡がり,塩分が大きく低下した.出水が長期間続く場合には,湾奥の広い範囲で成層が強まり,貧酸素水塊が湾奥西部海域に形成された.出水に対する表層栄養塩濃度の変化は,DIN・DSiとDIPで異なっていた.出水が継続するとDIN・DSi濃度は上昇したが,DIP濃度は変化が小さかった.これは感潮域から河口域にかけて懸濁物質による緩衝作用が働いたためと示唆された.DIPの挙動は,底層においてもDIN・DSiとは異なっていた.出水時には底層でDIPの供給があり,それはDO濃度低下にともなった底泥からの溶出によると考えられた.
- 2009-02-27
著者
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