観察条件を考慮した二色型色覚の色の見え

概要

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色覚異常者を考慮したカラーユニバーサルデザインの構築を目的に,症例の多い強度色覚異常とされている二色型色覚異常の色の見えのシミュレートを行うアルゴリズムを考案した.本研究におけるシミュレーションモデルはBrettelらのモデルを改良したものである.Brettelら考案したシミュレーションは等エネルギー白色順応時の実験値を元に考案されたモデルであるため,順応条件の大きな要素のひとつである照明条件を考慮した色順応過程(CIECAM02あるいはVon Kries model)をシミュレーション中に導入した.このモデルを利用してPanel D-15 test chartに対し二色型色覚の色差算出を行い,二色型色覚の色弁別能について定量的な評価実験を行った.その結果,その色弁別特性は各々の色覚のものとなり,シミュレーションの妥当性を確認することができた.また,異なる環境下におけるMacbeth color checkerに対するシミュレーションを行ったところ,二色型色覚にも色彩恒常性を有することを示唆する結果が得られた.最後に,本研究で提案する二色型色覚の色の見えモデルを用いて,デジタル画像に対する二色型色覚の色の見えを再現するシミュレーションの一例を紹介する.
日本色彩学会の論文
2008-09-01