斎藤喜博の学校づくりにおける「遊び」の構造
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概要
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本稿の目的は、斎藤喜博による学校づくりを、ホイジンガの「遊び」概念によって解明することである。斎藤は、昭和27(1952)年度から昭和37(1962)年度までの11年間にわたり、群馬県島小学校校長として、教育実践史上例をみない学校づくりを展開した。斎藤の学校づくりは、従来の研究では、授業と学校行事と芸術教育を重んじることで推し進められた、と理解されてきた。ところが、こうした理解では、これら三者の密接な連関が力説されながらも、その連関の内実が不明のままであった。そこで本稿は、この連関を、ホイジンガを導きとして、相対的に高次の遊びの構造という新たな観点から捉えることを試みる。このことによって、島小でのユーモア溢れる数多くのエピソードも、従来は研究の俎上に乗せることさえできなかったが、斎藤の学校づくりの一環として、包括的に理解可能になる。また、これまで未解決であった島小実践の時期区分も、この観点から、一層明確に把握できるようになる。
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