デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性 : 第2報 : 人の「大きさ」に対する認識力の調査,解析
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概要
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デザイン教育領域への展開およびその基礎資料を得ることを目的に,デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性について,第1 報──人の「長さ」に対する認識力の調査,解析──に続き,第2 報として,人の「大きさ」に対する認識力の調査,解析を行った.調査方法は,(第1 報同様)人の尺度(長さ,大きさ,角度)に対する認識力を調査する調査表を考案し,高校生,大学生,一般成人,デザイン従事者(デザイナー,モデラー)計210 名を対象にアンケート調査を2004 年7 月から12 月にかけて実施した.調査結果(調査2,調査4,調査6,調査7)から,人の「大きさ」の認識には年齢,性別,身体的要因(視力)での明確な差は見られなかったが,被験者のほとんどに見られる認識の特徴として,指定された大きさ(寸法)の図形(円,正三角形,正方形)を描いた場合,各図形共に指定された大きさ(寸法)よりも約9.3 〜 13.5%(円は9.5%,正三角形は9.3%,正方形は13.5%)小さく描く傾向がある事が判明した.また反対に目測による図形(円)の大きさを調査した結果,実際の大きさ(直径)よりも約12.5 〜 34.5%大きく認識している被験者が多い事が分かった.この結果から,人は「大きさ」に対して,図形を描く場合と目測する場合との認識に違いがある事が伺え,これらの傾向は指定された大きさ(指示寸法)の図形(円,正三角形,正方形)を描いた場合は,指定寸法が大きくなる程,指定より小さく描く傾向があり,目測による図形(円)の大きさの場合は,実際の大きさ(寸法)が大きくなる程,寸法誤差が小さくなる事が判明した.しかしながら,デザイナーを見ると,全体的な認識の傾向は同じであるが,指定された大きさ(寸法)の図形(円,正三角形,正方形)を描いた場合のデザイナーの平均誤差は3.4%であり,目測による図形(円)の大きさの平均誤差は12.3%と他の被験者と比較して,非常に低い事が分かった.さらに,解析から被験者の「大きさ」に対する認識力には4 つのタイプがあることが確認でき,そのタイプ別で比較すると,デザイナーはタイプ4 の「大きさの基準を正確に認識している人」の割合が調査2,調査6,調査7,それぞれ36%以上と他の被験者と比較して非常に多い事が判明した.第1 報──人の「長さ」に対する認識力の調査,解析──と同様に,デザイン能力と「大きさ」の認識力には関連性がある事が確認された.
- 2007-03-31
著者
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