デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性 : 第1報 : 人の「長さ」に対する認識力の調査,解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
デザイン教育領域への展開およびその基礎資料を得ることを目的に,デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性について,人の「長さ」に対する認識力の調査,解析を行った.調査方法は,人の尺度(長さ,大きさ,角度)に対する認識力を調査する調査表を考案し,高校生,大学生,一般成人,デザイン従事者(デザイナー,モデラー)計210 名を対象にアンケート調査を2004 年7月から12 月にかけて実施した.調査結果(調査1,調査3)から,人の「長さ」の認識には年齢,性別,身体的要因(視力)での明確な差は見られなかったが,被験者のほとんどに見られる認識の特徴として,指定された長さの線を引く場合の認識と指定された長さに印(目測)をつける場合の認識に違いが認められ,指定された長さに印(目測)をつける場合の方が指定された長さの線を引く場合より平均9%〜14%大きく表す傾向がある事が判明した.また,解析から被験者の「長さ」に対する認識力には4つのタイプがあることが確認でき,そのタイプ別で比較すると,デザイン従事者(デザイナー)はタイプ4の「長さの基準を正確に認識している人」の割合が調査1,調査3,それぞれ70%以上と他の被験者と比較して非常に多い事が伺えた.さらに,デザイン従事者(デザイナー)全体でも調査1,調査3ともに指定寸法記入誤差が2%〜7%で「長さ」に対する認識力が非常に高い事が分り,デザイン能力と「長さ」の認識力には関連性がある事が確認された.しかしながら,今回の結果だけでは人の「長さ」に対する認識力がデザイン能力に関連する要因として特定する事はできない.今後さらに,デザインにおける形態表現能力との関連性を明らかにする上で,人の「大きさ」,「角度」の認識の比較分析および解析,そして検証が必要である.
- 2006-03-31
著者
関連論文
- N-006 ペーパークラフトを活用したデザインプロセス教育(教育・人文科学,一般論文)
- デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性 : 第2報 : 人の「大きさ」に対する認識力の調査,解析
- デザインにおける形態表現能力と尺度認識力の関連性 : 第1報 : 人の「長さ」に対する認識力の調査,解析
- 授業科目「CG アートとデザイン」の開発と評価