顎下腺転移を認めた肺小細胞癌の1例
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概要
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小細胞癌は肺に好発する未分化癌で早期より多臓器へ転移する特徴がある.しかし唾液腺への転移はまれで,なかでも顎下腺への転移はきわめてまれである.今回われわれは肺小細胞癌が顎下腺に転移した症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.患者は82歳男性で,顎下部の腫脹を主訴に2001年7月に来院した.左顎下部に鶉卵大,弾性硬の腫瘤を認め,またオトガイ下に拇指頭大のリンパ節を触知した.Gaシンチでは左顎下部に集積を認めたが,その他異常を認めなかった.頸部MRIではT1強調像にて左顎下腺下極に25×22mm大で類円形,内部不均一,境界不明瞭なlow intensity massを認め,オトガイ下リンパ節の腫脹も認められ,顎下腺悪性腫瘍が疑われたため,左顎下腺腫瘍切除生検術を施行した.腫瘍は類円形で顎下腺下極に癒着しており,割面は充実性で黄白色を呈していた.病理組織学的には顎下腺小細胞癌,オトガイ下リンパ節転移との報告であったため,全身精査を行った.胸部CTにて右肺門部付近に15mmの腫瘤を認めたため東京女子医科大学呼吸器内科を受診したところ原発性肺癌の可能性が示唆された.その他画像診断で腎臓,副腎,脳に転移が認められた.化学療法を予定していたが,脳転移による痙攣,意識レベルの低下が認められ傾眠傾向となったため施行せず,間質性肺炎のための呼吸不全で死亡した.剖検では右肺下葉気管支に原発巣と考えられる腫瘍を認めた.病理組織学的には肺小細胞癌の顎下腺転移と診断し,その他腎臓,肝臓,副腎,小腸に遠隔転移を認めた.小細胞癌は肺に好発する未分化癌で,腫瘍の進展速度が急速のため,診断時点でリンパ節転移や遠隔転移をきたしていることも多い.唾液腺への転移はまれで,なかでも顎下腺への転移はきわめてまれであるが,顎下腺腫瘍を認める場合には肺癌の転移も念頭に置く必要があると考える.
- 東京女子医科大学の論文
著者
-
小林 槇雄
東京女子医科大学病理学第1講座
-
扇内 洋介
東京女子医科大学医学部歯科口腔外科学教室
-
扇内 秀樹
東京女子医科大学医学部歯科口腔外科学教室
-
丸岡 靖史
東京女子医科大学医学部歯科口腔外科学教室
-
安藤 智博
東京女子医科大学医学部歯科口腔外科学
-
小林 槇雄
東京女子医科大学第一病理学
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 小児科
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 医学部第二外科学
-
小林 槙雄
東京女子医科大学第一病理学
-
小林 槇雄
東京女子医科大学 神経内科学
-
安藤 智博
東京女子医科大学病院医学部歯科口腔外科学教室
-
扇内 洋介
東京女子医科大学医学部歯科口腔外科学
-
扇内 洋介
東京女子医科大学 医学部 歯科口腔外科学 教室
-
丸岡 靖史
東京女子医科大学
-
小林 槙雄
東京女子医大 第一病理
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 中央検査部病院病理科検査室
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 第二外科学教室
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 消化器内科
-
扇内 秀樹
東京女子医科大学医学部 歯科口腔外科学教室
-
小林 槙雄
東京女子医科大学附属腎臓病総合医療センター 臨床検査室
-
小林 槙雄
東京女子医科大学 病理学第一講座
-
小林 槙雄
東部地域病院
-
小林 槇雄
東京女子医科大学第一病理
-
安藤 智博
東京女子医科大学
-
小林 槇雄
東京女子医科大学病理学第一講座
-
小林 槙雄
東京女子医科大学医学部病理学(第一)
-
小林 槇雄
東京女子医科大学 医学部病理学(第一)
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