関節リウマチに対するエタネルセプト効果減弱例の関節鏡視下滑膜切除術の臨床的効果と関節滑膜の組織学的検討

概要

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関節リウマチ(RA)の治療において生物学的製剤であるエタネルセプトが近年使用されているが,その効果減弱例に対して関節鏡視下滑膜切除を施行した7例88関節,男性2例,女性5例,平均年齢62(48〜75)歳について術前c-reactive protein(CRP)とdisease activity scores(DAS)28を経時的に48週まで調べ,術中採取した滑膜を組織学的にtumor necrosis factor-alpha(TNF-α),interleukin-6(IL-6)およびreceptor activator of nuclear kappa B ligand(RANKL)の発現について調べた.その結果CRPは術前3.8±0.5mg/dlから術後48週で0.7±0.4mg/dlに有意に低下し,DAS28は術前6.3±0.6から術後48週で2.7±0.9に有意に低下した.エタネルセプト効果減弱例の滑膜はリンパ球浸潤,血管増生を示し,滑膜表層に多核の組織球の発現を認めた.免疫組織化学的検討ではTNF-αの発現は滑膜全体の細胞に見られ,IL-6は滑膜細胞は抑制され血管のみ発現していた.破骨細胞の分化を促進するRANKLは滑膜に発現していなかった.以上よりエタネルセプト効果減弱例のRAでは組織学的にTNF-αの発現が見られる滑膜を切除することにより,局所からのサイトカイン産生を抑制する関節鏡視下滑膜切除は有効であり,エタネルセプトの効果を持続できる一つの手段として考えられる.
東京女子医科大学の論文