生物多様性のノーネットロス政策 : -日本における導入の実現性に関する考察-
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概要
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人類の存続の基盤である生物多様性の損失が加速化している。生物多様性条約(CBD)が1992年に採択され、世界的な取り組みが行われているが、CBD締約国会議が2002年に定めた「2010年までに生物多様性の損失速度を著しく低下させる」という目標は達成困難となっている。米国やEUでは、自然を開発する場合には、その生物多様性への影響を回避・最小化する努力を行うこととし、その後に残る影響については代償サイトでの生物多様性の復元等を行うことによって、生態系のネットでの損失をゼロ(ノーネットロス;no net loss)とする政策を既に採用し、実施している。本研究の目的は、生物多様性保全政策の一つとして欧米等で導入されているノーネットロス政策について、その意義と問題点を明らかにし、日本における導入の実現性を考察することである。本研究の結果、ノーネットロス政策は、市場の失敗を是正し、公共財である生物多様性を保護する行動を奨励し、これを破壊する行動を罰する仕組みであること、開発事業が生物多様性へ与える影響について分野横断的に規制することができること、諸外国でも導入実績があり、それらの経験を参考として、実際的な制度設計を行うことが可能であることから、日本においてもその導入は実現性があると結論付けた。
- 2010-03-15
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