物語文読解の授業談話における「聴き合い」の検討 : 児童の発言と直後再生記述の分析から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,物語文の読解授業においてテキスト理解を話し合う過程で,児童がテキストに書かれた言葉に着目しながら,どのように互いの発言を「聴き合い」,教師はそれをどう支援しているか明らかにすることを目的とした。小学校5年生2学級の国語授業を対象に,授業観察と直後再生課題を行い,授業中の発言および再生記述を,テキストや他児童の発言との関連から検討した。その結果,(1)話し合いでの児童による言及の多さや,発言回数に対する再生比率の高さから,テキストを引用した発言や他児童の発言に言及している発言が,テキスト理解の「聴き合い」を促進していること,(2)教師は,話し合いの中で音読やテキストに「戻す」問いかけを繰り返し行うことで,児童をテキストとの対話へと促していること,(3)テキストとの関連が不明確な児童の疑問を教師がリヴォイスすることで,読解の視点を多様にし,「聴き合い」を促進していることが明らかとなった。また,テキストを引用した発言や,他児童の発言に言及している発言は学級間で頻度が異なることから,話し合いのグラウンド・ルールの共有度が,談話のスタイルおよび「聴き合い」に影響していることが示唆された。
- 2009-12-10
著者
関連論文
- 児童による話し合いを中心とした授業における聴き方の特徴 : 学級と教科による相違の検討
- 物語文読解の授業談話における「聴き合い」の検討 : 児童の発言と直後再生記述の分析から
- K540 リヴォイシングにおける教師の即興的思考 : 物語文読解授業における教師の教材解釈に基づく検討(口頭セッション89 語り・発話・学び2)
- PB069 話し合いにおいてよく発言する児童はいかに聴いているか : 課題構造の相違による分析
- 教師のリヴォイシングの相違が児童の聴くという行為と学習に与える影響
- 「聴くことが苦手」な児童の一斉授業における聴くという行為 : 「対話」に関するバフチンの考察を手がかりに
- PG2-29 教師から「よく聴ける」と認識されている児童の授業の記憶 : 学級と教科における相違の検討(教授・学習)
- PG051 授業における児童のきき方のスタイル : 授業中の発言とその記憶、教師による評価から
- 24-J-11 教師の学びの質を捉える : 連続性の視点から(自主企画)
- PA043 教室における言葉の応答性 : 話を聴くことが苦手な児童の発言を中心として(ポスター発表A,研究発表)
- P4-39 物語文読解授業における聴くことによる読みの交流 : 話し合い前後のワークシートへの書き込みに着目して(教授・学習,ポスター発表)