高塩類堆肥を用いた野菜栽培での土壌溶液組成および陽イオンバランスの経時変化(2) : コマツナ連作栽培の場合
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概要
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高塩類堆肥を有機質肥料として利用することを考慮し,本研究では,土壌溶液の組成および陽イオンバランスの経時変化に注目し,高塩類堆肥を用いたコマツナ連作栽培について調査した.最初のポット実験では,コマツナを化成肥料,普通堆肥,高塩類堆肥を用いて,褐色低地土(NA)および黒ボク土(NBL)で4連作した.普通堆肥区と高塩類堆肥区の地上部乾物重を比較すると,NA,NBLともに1〜3作目は高塩類堆肥区の方が多い傾向にあった.しかし,4作目で高塩類堆肥区の地上部乾物重が大幅に減少し,普通堆肥区と同じ施用量の高塩類堆肥区(20Mg ha^<-1>)と比較すると,地上部乾物重が普通堆肥区よりも少なくなった.高塩類堆肥区では施用量が増加するにつれ,コマツナの地上部乾物中のカルシウムとマグネシウム濃度は減少する傾向にあった.高塩類堆肥連用による土壌への影響として土壌ECを検討した結果,高塩類堆肥区は施用量および施用回数の増加に伴い,EC値が高くなっていた.高塩類堆肥施用により土壌溶液濃度は上昇していたが,土壌溶液の陽イオンバランスを評価する指標として用いたAR^<K+Na>は3作目以降で値が安定する傾向にあった.高塩類堆肥施用によってコマツナ乾物収量が減少したのは,土壌溶液濃度の増加だけでなく,土壌溶液中のカルシウムとマグネシウムがコマツナに吸収されにくくなるような土壌溶液組成にも原因があると考えられた.黒ボク土に高塩類堆肥を10,20Mg ha^<-1>施用した後,苦土石灰を5Mg ha^<-1>施用したポット実験では,苦土石灰の併用によって高塩類堆肥施用区のAR^<K+Na>値は直ちに改善され,それに従い,コマツナ乾物収量も高くなった.
- 2009-06-05
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