温暖化にともなうアポイ岳ヒダカソウの開花時期の変化
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概要
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温暖化の影響を受けやすい高山生態系において、植物の生物季節の変化は、温暖化の影響を早い段階で検出するための有効な指標となる。アポイ岳の風衝草原に生育する高山植物ヒダカソウについて、地表面温度の積算値に対する開花特性と、開花時期に対する温暖化の長期的な影響を明らかにした。主要な3生育地において、開花開始日と日平均地表面温度のモニタリングを、2005〜2008年に行った。モニタリングによって得られた10データセットを用い、開花開始日を推定する最適積算温量モデルの検討を、積算開始日に作用する温度条件と生育限界温度を変化させて行った。積算開始日は、花芽が裂開して成長が始まる日とし、一定の基準温度に達した日が一定期間続いた翌日に起こると仮定した。仮定した積算開始日と生育限界温度の全ての組み合わせについて、10データセットの開花までの積算温量を算出し、その平均値を開花に有効な積算温量として開花開始日を推定した。推定した開花開始日と観察された開花開始日との比較を行った結果、積算開始日を2月1日以降にはじめて6℃に達した日の翌日とし、生育限界温度を1℃とする積算モデルが最適と考えられた。浦河町の日平均気温から算出したヒダカソウ生育地の日平均地表面温度を用いて、最適モデルを基に過去のヒダカソウの開花開始日を推定した結果、過去100年間で7.6日の早期化が認められた。
- 2009-11-30
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