2008 年版学習指導要領における中学校技術科の改定内容

概要

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1 研究の目的文部科学省は今年の3 月28 日,幼稚園,小学校,中学校の新学習指導要領を公示するとともに,学校教育法施行規則を改正した。これらは,学習指導要領解説と合わせて,わが国の幼稚園,小学校,中学校,高等学校,特別支援学校等の諸学校の教育課程基準を構成している。ところで,中学校学習指導要領等において,それまでの職業・家庭科に代わり,技術・家庭科が設置されたのは1958 年であり,今年はそれから50 年にあたる。技術・家庭科が設置されてから,学習指導要領の改定は,1969 年,1977 年,1989 年,1998 年に行われてきた。今回の改定は技術科設置以後,五度目の改定となる。本稿では,今回の学習指導要領改定について,以下の視点から分析を行い,その特徴を明らかにすることを目的とする。視点の第一は,中央教育審議会答申との関連についてである。従前同様,今回の学習指導要領の改定に際しても,中央教育審議会(中教審)に諮問が行われ,その答申を基にして改定が行われたとみられるからである。第二は,普通教育としての技術教育,とりわけその世界標準ともいうべきユネスコの「技術及び職業教育に関する条約」からの距離がどうなったか,という点である。筆者は,中学校の技術・家庭科の技術分野は,普通教育としての技術教育であると考えている。そして現在,その,いわば世界標準が「技術及び職業教育に関する条約」であるとみられるからである。第三は,日本において普通教育としての技術教育は成立したか,という視点である。日本においては,知的障害児教育の分野で普通教育としての技術教育が成立していないために,厳格にいえば,日本において普通教育としての技術教育が成立しているとはいえない状況にあるからである。なお,先述したとおり,教育課程基準は学習指導要領のみから構成されているわけではない。しかし,本稿では,とりわけ中学校技術科の内容に焦点をあてるため,学習指導要領の検討が中心となる。さて,ここまで何の説明もなく使用してきたけれども,本稿では,技術・家庭科の技術分野を技術科(または中学校技術科)ということにする。

2008 年版学習指導要領における中学校技術科の改定内容

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