日本におけるボーン・グローバル・カンパニー(BGC)の研究 : 資源ベースの戦略論に基づいて(第1報告)
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概要
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国際化がどの様な段階を経て行われてきたかという議論に関して一般的に企業は国内市場での成長後、商社を経由して製品の輸出を行い、そこで蓄積された経営資源を基に現地への投資活動を販売子会社の設立、製造部門の移転・新設、更には研究開発施設の移転・新設という順で行うとされ、最後の段階に行くまでには長い年月を有するとされている。しかしながら一方ではこの様な一般的な段階の議論を経せずに会社設立直後もしくはそれより数年後に国際化を図る企業が存在することが1980年終盤より海外において注目を集め始めた。この様な国際化を行う企業は"ボーン・グローバル(Born Globals)"と呼ばれ、現在まで多くの研究者により議論されている。近年、設立から数年以内で海外展開を開始するためのボーン・グローバル・カンパニー(生まれながらのグローバル企業)(Born Global Company以下BGC)(Mckinsey&Co.,1993)の戦略行動が注目されている。欧州、とりわけ、ノルウェー、スウェーデンやフィンランドなど北欧諸国では、本国市場が小さいために、成長の源泉を海外に求めることが当然であった。事実、国内市場が小さい国から多くのBGCが生み出されている。BGCの特徴として、設立から海外進出に要する時間がある。既存研究の多くは、BGCを設立から数年以内に国際的活動を展開する企業と定義しているため、設立から数十年も要する企業は、BGCとはみなされない。もう一つの時間軸に関する特徴としては、競争優位性に関するものである。BGCの研究では、資源ベース・ビュー論をベースにしてBGCのコンピタンスを解明しているが、それらのコンピタンスは、特定時点での環境にフィットして生み出されるものである、ということである。本論文ではBGCの概念に基づいてその特徴を分析する、また、日本のBGCの事例を取り上げることによって、資源ベース論から日本のBGCの戦略行動の特性と国際化プロセスを検討するのが主要な目的である。
- 2009-10-23
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