介護保険施設における看護職員の看護活動と看護に対する認識
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概要
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本研究の目的は介護保険施設における看護職員の業務実態と看護の認識を把握し,介護保険施設における看護実践上の課題を検討することである.E県の介護保険施設に勤務する看護職員に対し質問紙調査をした.データ分析はx^2検定,t検定,一元配置分散分析およびTukeyの多重比較と記述内容を分析した.対象者は909人,平均年齢は40.5歳であった.臨床経験は16年で,医療系の職場であった.業務は医療処置や記録等が多く,教育・指導・相談業務は少なかった.褥瘡ケアでみた看護問題の解決過程では原因やリスクの評価が低かった.施設間の比較では介護療養型医療施設に比べ,介護老人福祉施設では入院通院介助や入所者の健康相談が,介護老人保健施設ではレクリエーション・リハビリテーションへの参加が高かった.看護の認識は生活モデルを指向していた.介護老人保健施設が介護老人福祉施設や介護療養型医療施設より,また看護師が准看護師より生活モデルを指向する傾向にあった.記述回答の分析結果から看護職員は施設ケアを通して老年看護への理解を深めていたが,介護保険施設が求めている生活支援の看護へと認識を転換していくには葛藤があることがわかった.介護保険施設における看護実践の課題として高齢者を多面的に捉えること,ケアの判断根拠を明らかにし,介護職員へ説明できることが課題となった.
- 2006-03-15