「普遍学」の夢と現実 : 論理推論体系の可能性を求めて(文学部創設百周年記念論文集I)
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概要
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フレーゲによる論理学の形式的体系化の成功以来現代論理学は一世紀以上を経過したことになる.現代論理学の形式化と体系化はある意味で伝統哲学史の中でたびたび現れて来た「普遍学」の夢の部分的な実現といえるかもしれない.例えば,ルルスやライプニッツにおける「普遍学」の夢は記号操作による論理計算をその基礎においていたと考えられる.概念の記号化による論理計算に基づいて人間尾知的活動の肩代わりをして,あいまいさを含まない概念構造と議論から成る理論的諸学問を機械的に展開することを目指していたと考えられる.でははたして現代の記号論理学はいったいどこまでこの「普遍学」の夢を達成できたと言えるのだろうか.いかなる点で記号論理学は「普遍学」の理念と共通性を持っていて,いかなる点で相異性があるか.又,現代の記号論理学は「普遍学」の理念の実現に対してどのような可能性を持っているのか.この小論ではこのような問いについて考察してみたい.「普遍学」の理念には機械的な手続きで理論を展開すること,言い方を少し変えれば,機械的な記号操作によりその理論中の定理を自動的に導出することが,漠然とした形でではあるが,含まれていたように思う.我々は特にそのような機械的な論理計算による学の展開や新しい定理の証明の可能性について現代の記号論理学がどのような情報を提供してくれるかについてつっこんで考えてみたい.この小論においては特に論理学の技術的な知識を持たない読者を想定して議論を進めるよう心掛けた.最小限前提とした技術的概念についてはそのつどで補足したので参照されたい.
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