有害有毒赤潮藻の消滅に関わる海洋微生物の殺藻戦略
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概要
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1960年代から瀬戸内海において著しい漁業被害をもたらしてきた有害有毒赤潮の発生は,人間活動のもたらす海洋汚染に由来する富栄養化が原因の一つであることは周知のことである。むろん,赤潮の発生は富栄養化だけによるのではなく,水温,塩分や気象状況なども重要な要因である。しかし,それらの研究によっても,なおかつ不明な要因があり,赤潮発生および消滅の予測を不確かなものとしている。その不明な要因の主な部分が細菌やウイルスなどの微生物の作用と推定される。ここでは,赤潮消滅に関る微生物の殺藻戦略について,その概要を紹介する。しばしば,赤潮は,ある日突然消滅する。この突然の消滅の主な原因は,炭酸ガス,硝酸などの窒素化合物,リン酸,鉄,ビタミンなどの減少による化学的要因や,強風,波浪などの物理的要因が挙げられているが,近年,赤潮消滅時に赤潮藻を殺滅するウイルス,細菌などの微生物の存在が明らかにされ,研究が急速に進展した。
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