モハーベのアリハ(ベルダーシュ):その社会的/ジェンダー的地位の考察
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概要
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北アメリカ先住民のモハーベ族にはベルダーシュが報告されている。身体は男性で女性の仕事をしたり服装をしたりする人はアリハと呼ばれ、身体が女性の同様の人はフワメと呼ばれる。本稿はアリハを主たる対象として、デヴルーや他の研究者の資料に基づき、その社会的地位とジェンダー的地位を考察する。社会的地位については、民族誌に記述されている日常の様子の観察に依る。ジェンダー的地位の資料は、神話とイニシエーションの二つである。 アリハの存在は神話的伝承に基礎付けられている。モハーベ社会の創造神が、生まれた男の子に女の名を付け、女のものや生活を好む特別な能力の子として、人々に知らせた。アリハがモハーベ社会で独特な役割を公的に果たす儀礼も、同じように神話にその起源をたどることができる。 アリハは夢見によっていわば運命付けられており、はじめからそういう人として生まれていると人々には信じられている。アリハにはイニシエーションがあるが、それは先天的傾向の確認と、そういう人としてのその人の地位の社会的認知の二つの意味を持つ。 アリハのイニシエーションは、普通の男女のイニシエーションと関連させて理解させなければならない。デヴルーによれば女の成熟儀礼に対応する男の儀礼がある。思春期の少年が鼻中隔に穴を開け棒などを通し、その儀礼の際に遠出の早駆けをすることがそれである。男子の性的能力の強化儀礼と理解できる。アリハはこの儀礼を受けない。このことから、思春期に少年はアリハと普通の男という互いに異なる(ジェンダー的)地位に、これら儀礼によって分けられると理解できる。 しかし、日常社会でのアリハの地位は軽侮と幾分の恐れの両方を受ける点で微妙で曖昧である。頭皮踊りの儀礼での役割も考えると、日常の地位のカテゴリーではなく、非日常的な地位としてアリハを考えるべきである
- 2009-03-15
著者
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藤崎 康彦
跡見学園女子大学文学部
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藤崎 康彦
跡見学園女子大学文学部人文学科
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藤崎 康彦
跡見学園女子大学人文学フォーラム文化人類学
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藤崎 康彦
跡見学園女子大学
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藤崎 康彦
跡見学園女子大学人文学科
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