社会情勢の変化と犯罪率傾向 : ルーティーン・アクティビティ論

概要

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本稿では,犯罪率とその周期を分析するために「ルーティーン・アクティビティ論」を提示した。ここでは犯罪者たちの性格を浮き彫りすることにより,むしろ「略奪的な犯罪行為」の実行に繋がる状況に焦点を当てよう。大方,犯罪行為が発生するのには,罪を犯そうとする者の前に好都合な標的があり,合わせて,犯罪に立ち向かう勇猛な監視者(保護者=ガーディアン)の不在という条件が,時間と空間に集中する必要がある。人類生態学理論では,これらが社会構造により生み出されるという立場から調査を進めている。したがって方法論的には,日常生活の合法的な活動の上で違法活動が醸成されたことを認めるわけである。我々は特に,家庭生活から遊離し分散した状況が犯罪発生の機会を増し,ひいては犯罪発生率を押し上げる結果になる,という仮説を立てた。この仮説を裏付ける多様なデータを提供するが,それによって,1947年から1974年の間のアメリカ合衆国における犯罪傾向を,労働力人口や独身成人世帯の動向という「可変数」がもたらす変化の副産物として説明することも可能となった。