人口変動とひったくり犯罪の関連性について : 大阪市を事例に
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概要
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我が国における人口構成の激変は、一般には「少子高齢化」問題としてクローズアップされているが、近年、大阪市のような大都市では、一部都心に人口回帰がおこっているとともに、それを取り囲むインナーシティの地域では、複雑で複合的な都市問題が課題として残っている。これらの人口変動による社会変化は、犯罪現象にも影響を与えるものと考えられる。そこで本稿では、大阪市において、どの年齢層の人たちがひったくりの被害者となっているかについて、これまでの犯罪統計の研究では殆ど取り上げられることのなかった発生統計データを「地域人口特性」と「被害性向」に分解するところの、新たな測定指標である「ターゲット率」に基づき分析した。その結果、各エリアのひったくり被害性向を明らかにすることによって、ひったくりのような都市型犯罪の発生要因として「人口特性」と「被害性向」が影響しているとの知見を得ることができた。本稿における、人口変動とひったくり犯罪の被害性向の分析による「各エリアのひったくりの被害者の年齢特徴」と、筆者が従前より開発した、被害者シチュエーションモデル分析による「各区の被害モデルの被害者の年齢特徴」について比較したところ、その結果はほぼ類似しているので、被害者シチュエーションモデル分析による「仮説」の有効性を確認することができる。
- 同志社大学の論文
著者
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