形式的区別の喪失とその影響 : 日本語の終止形と連体形の場合
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概要
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日本語古語においては用言終止形と連体形が形式的に区別されていたが、現代語においては形容動詞を除いてこの区別は失われている。この変化は連体形の消失としてとらえられるが、ある環境、すなわち有形の名詞が後続する環境ではこの変化は他の変化を引き起こさないが、別の環境、すなわち有形の名詞が後続しない環境では、この変化に伴って有形の形式名詞が用いられるようになるという変化を引き起こした(準体法の衰退に伴う形式名詞の使用)。この変化を、ある形式的な区別の喪失が情報伝達に支障を来たさないよう起こる補償としてとらえる。また、この補償が起こるのは、連体形と前後の要素を含む形式が固定化していない場合である。方言を調べてみると、もともと同一の表現であったものが、形式名詞を含む形で固定化している方言と、形式名詞を含まない形で固定化した方言が見られる。この違いは、前者の方言においては、形式名詞が用いられるようになってから表現が固定化したのに対し、後者の方言においては、形式名詞が用いられるようになる前に表現が固定化したと考えれば説明できる。
- 2007-03-15
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