アウグスチノ修道参事会律院シッフェンベルクの創設事情について
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概要
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シッフェンベルク律院は,トリーア大司教区内に設立されたアウグスチノ修道参事会の修道院の一つである.当院の創設は,トリーア大司教区の修道院改革と無関係ではなく,そもそも,修道院改革そのものがトリーア大司教による大司教領統治政策に寄与する形をもっていたから,トリーア大司教区としては東端に位置しているシッフェンベルクの地も,律院創設にあたりその例外とはならなかったと考えられる.しかし,当地は11世紀までにライン宮中伯,ルクセンブルク伯が権利を有しており,両者からもそれほど注視されなかった様子はあるものの,シッフェンベルクの領地の寄進については,少なからず大司教と俗人領主たちとの間の微妙な政治関係が介在していたはずである.しかも,シッフェンベルク律院が立地するギーセンの地域が,トリーア大司教区に属するのか,マインツ大司教区に属するかという複雑な事情もあった.それでもこれらの事情は,トリーア大司教の側からシッフェンベルク律院の創設背景を追跡してゆくと,ある程度は明らかにすることができる.本稿では,シッフェンベルク律院の創設に関して,トリーア大司教がどのように関わりを持っていたのかを概観してみたい.
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