LD等の発達障害のある高校生をもつ保護者の心配
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概要
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発達障害のある高校生をもつ保護者を支援する方策を考える資料とするために,保護者が心配していることを調査票により調査した.全国LD親の会の高校生相当の子どもを持つ会員527人を対象として,315人(59.8%)から回答を得た.彼らの子どもたちは一人で複数の診断名または判定名を持ち,学習障害(LD)が128人,注意欠陥多動性障害(ADHD)が84人,広汎性発達障害(PDD)が126人,知的障害(MR)が72人であった.通常の高校在籍者199人の障害の重複状況はLD単独が46人,LD・ADHDの重複が24人,LD・PDDの重複が13人,LD・MRの重複が4人,LD・ADHD・PDDの重複が6人,LD・ADHD・MRの重複が3人,LD・PDD・MRの重複が1人であり,199人中97人(48.7%)がLDを含む.また,ADHD単独は12人,ADHD・PDDの重複が4人,ADHD・MRの重複が2人,PDD単独が67人,PDD・MRの重複が5人,MR単独は12人であり,LDを含まない者が102人であった.なお,通常の高校においてMRを含む者は26人であった.多くの保護者は,状況判断が悪い,話すことに困難がある,自分の気持の表現が下手,不器用である,暗黙のルールがわからない等を心配していた,これらは人間関係がうまく築けない原因と考えられた.LDと他の障害が重複する場合は,LD単独の心配より他の障害の心配事が強く現れた.LDを含まない障害の重複は少数であった.ADHDは不注意,注意集中の困難が多く,PDDは上記の他,他人との付き合い方がわからないという心配があった.MRは上記の他,金銭の管理ができないという心配があった.学校側との連携は担任を中心に行われており,養護教諭の関与についてはわからないとするものが多く,保護者は養護教諭との関係性が薄い傾向にあることが推察された.発達障害のある生徒に関わる教員は,こどもや保護者とよく接触をして,一人ひとりの子どものタイプや特性を理解し,その特性に合わせた学習指導や生活支援が必要である.
著者
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古川(笠井) 恵美
川崎医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健看護学専攻
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内藤 孝子
特定非営利活動法人全国LD親の会
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松嶋 紀子
川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
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松嶋 紀子
川崎医療福祉大学 保健看護学科
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松嶋 紀子
川崎医療福祉大 医療福祉
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