中国の株式市場の発展と実証分析(創立130周年記念若手研究者募集論文国際政治・経済(経済・ビジネスと政治・法律)部門佳作)
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概要
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中国の株式市場は1990年から本格的にスタートし、中国経済の急成長とともに急速に伸びてきた。現在、新興国の株式市場として大きく注目されており、その存在感はますます高まっている。中国株式市場が成長する一方、株価の変動も激しく、低迷の時期も経験した。政府は株式市場の安定成長を目指して、非流通株の放出、法制度の整備など、次々と政策を打ち出し、試行錯誤を繰り返しながら、中国の株式市場はその形を整えつつある。本論文では、中国の株式市場を考察し、株式市場の発展、問題点および株式市場に影響する要因を明らかにし、株式市場に対する政策のインプリケーションを導き出す。本論文では、中国の株式市場を分析対象として、まず、株式市場の発展過程と問題点などについて考察した。そして、中国の株式市場をより的確に理解するために、データ生成過程(DGP)の慎重な検討を踏まえて、I(0)変数という点で、上海総合指数、固定資産投資、工業総生産、社会商品小売総額の4変数について、Granger因果性テスト、インパルス反応、分散分解などの分析を試みた。Granger因果性テストでは、上海総合指数に対して、固定資産投資、社会商品小売総額からGrangerの意味での因果関係はあった。工業総生産は上海総合指数に対し、Grangerの意味での因果関係はない。さらに、DGPの視点から、4変数VARモデルが中国の株価を分析する上で有益であることを明らかにした。インパルス反応では、固定資産投資、工業総生産、社会商品小売総額3変数のうち、株価にもっとも影響するのは固定資産投資であった。次は、家計消費の代理変数と考えられる社会商品小売総額であった。分散分解では、上海総合指数の変動は3変数のうち、固定資産投資がもっとも大きく説明できた。固定資産投資は中国経済の高度成長を牽引しているだけでなく、中国の株式市場にも影響していることが分かった。高成長の中国では、過剰な固定資産投資はいつも問題視されているが、その急激な縮小は不測の混乱をもたらす恐れがあるため、緩やかな調整が望まれる。
- 二松學舎大学の論文
著者
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