木質由来廃棄物バイオマスの酵素糖化
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概要
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木質バイオマス(セルロース系)廃棄物の有効利用として粉砕処理したコピー紙およびダンボール紙を40℃で酵素反応させたところ、セルロースからのグルコース生成量は増加し続け、168時間でそれぞれ550mg/g(収率79%)および400mg/g(収率69%)に達し、また、反応に伴う酵素の失活はなく安定性が維持された。粉砕処理においてセルロースス鎖間の水素結合が物理的に切断されるが、再生紙の場合、セルロース鎖間の再配列が均一でないためその処理効果が高められ糖化反応が促進したものと考えられた。湿式粉砕後、乾燥させることなく酵素反応させ、反応24時間後に一度再粉砕を行うことで48時間後での収率は、粉砕乾燥させた場合の約1.5倍になった。ダンボール紙を粉砕後、水およびアセトンで洗浄し酵素反応させたとき、水、アセトンでの洗浄の順で反応性は高まり、アセトン洗浄での糖化促進効果は残存するコーティング剤などの夾雑物がセルロース表面から除去されることで酵素親和性が高まったことによると考えられた。酸およびアルカリ前処理をダンボール紙、牛乳パック、カタログ紙に対して行ったところ、コーティングされたカタログ紙を除いて、酵素反応促進効果はほとんどなく、低下するものさえあった。古紙およびダンボール紙は湿式粉砕を逐次行うことで酵素によるグルコースの収率が高まり、さらに時間をかけて反応させることで高収率になることがわかった。その実用化における評価を行ったところ、高額である酵素剤に対しては農産系バイオマス廃棄物を培地とするフスマ麹式固体培養による酵素生産も組み入れたバイオマスリサイクルシステムの必要性が示唆された。
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