植物の水吸収に着目して地上部と地下部の結びつきを考える(<特集>根系の水と養分吸収の生理生態)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
植物は、土壌中から多量の水分を根の表面で吸収し、維管束を経由してその一部を成長や各種成分の輸送に利用しつつ、大部分を葉の気孔から蒸散させている。地下部から地上部へ向かう水の流れは大気からの蒸散要求によって駆動されているが、流れの速さは気孔開度または植物体内の水透過性によって大きく変化する。アクアポリンの発見を契機に、植物体内の水透過性が地上部または地下部の条件に応じてダイナミックに変化することが再認識されており、特に根の水透過性の変化とアクアポリンとの関係については、多くの知見が集積しつつある。そこで本稿では、(1)根の水透過性を変動させる様々な要因、(2)根の水透過性の変化が地上部に及ぼす影響、(3)根内部の水経路、(4)細胞レベルでの水透過、(5)アクアポリン、(6)根での水吸収に必要なコストなどについて、地上部と地下部の結びつきを意識しながらこれまでに得られている知見を紹介したい。
- 日本生態学会の論文
- 2009-03-30
著者
関連論文
- 植物の水吸収に着目して地上部と地下部の結びつきを考える(根系の水と養分吸収の生理生態)
- 85 低水温条件がイネの成長および根の吸水に及ぼす影響(環境ストレス,日本作物学会第226回講演会)
- P118 2004年台風23号による広戸風発生時の津山盆地内の風速・乱れの分布に関する考察
- P117 2004年台風23号による広戸風発生機構の時空間的解析と倒木被害について
- C313 2004年台風23号の広戸風による岡山県北の倒木被害について : 計算流体モデルによる風速分布と倒木分布の比較(相互作用)
- C312 2004年台風23号の広戸風による岡山県北の倒木被害について : 衛星データを用いた倒木被害分布と気象モデルの照合解析(相互作用)
- D358 局地風広戸風の発生に対する台風の影響(大気境界層)
- P421 20世紀の気候変動に伴う農業水需給関係の時空間変動特性
- B351 日本における気温・降水量分布の気候学的な特性(気候システムIV)
- 15-11 気象栽培要因がコメの外観品質へ及ぼす影響(15.水田土壌肥よく度,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- P137 20世紀の気候変動に伴うアジアにおける灌漑要水量の時空間分布特性
- A156 領域モデルを用いた広戸風発生に関する研究(大気境界層)
- P263 GAME-Tibet IOP期間中におけるチベット高原上の日中の大気昇温量と地表面熱収支
- 地球温暖化が農林生態系に及ぼす影響 2.水資源への影響
- 局地気象学における赤外線放射温度計と熱赤外画像計測装置の有効利用
- 局地風(2)冷気の流れ
- 2003年度春季大会専門分科会報告
- 2007年の夏季高温条件における水稲稔実歩合の変動要因の解析(2007年の夏季高温が水稲に及ぼした影響,ミニシンポジウム(3),日本作物学会第225回講演会)
- 2007年夏季異常高温時の気象概況と水田微気象(2007年の夏季高温が水稲に及ぼした影響,ミニシンポジウム(3),日本作物学会第225回講演会)
- 第23回アメリカ気象学会農業 ・ 森林気象国際会議報告
- 根圏温度が植生の吸水・蒸散プロセスにおよぼす影響
- 根の吸水過程を考慮した植生蒸散プロセスに関する研究 : イネの通水抵抗の根圏温度依存性の定量化
- 根からの吸水過程を考慮した植生熱収支に関する研究(1)
- D401 日平均の地表面熱収支計算におけるバルク輸送係数に関する検討(大気境界層)
- 都市化の影響を考慮した近年の日本における気温変化傾向とその地域的・季節的な特性ついて
- 41 水稲の障害不稔予測モデルの2003年冷害圃場への適用(リモートセンシング・モデリング)
- 大気と陸域生態系の相互作用 : 水と二酸化炭素の交換過程に着目して(創立125周年記念解説)
- C170 群落微気象モデルによる葉面結露のシミュレーション(大気境界層I)
- 1.「大気境界層研究の現状と将来展望」(2003年度春季大会専門分科会報告)
- A165 群落熱収支モデルによる水田水温・地温のシミュレーション(大気境界層)
- 水田水温の熱収支的な特性とそれが群落微気象およぼす影響
- 低温下でのイネの水吸収とアクアポリン (セミナー 生物のストレス受容のメカニズム--分子レベルから細胞レベルまで)
- 「地表面の熱収支」, ミハイル・イ・ブディコ著, 内嶋善兵衛訳, 成山堂書店, 2010年10月, 271頁, 3600円(本体価格), ISBN978-4-425-51271-3(本だな)
- 低温下でのイネの水吸収とアクアポリン(セミナー「生物のストレス受容のメカニズム-分子レベルから細胞レベルまで-」)
- 登熟及び発芽時のイネ籾におはるアクアポリン発現及び局在性
- 水耕液のNO_3あるいはNH_4濃度の変化による根の形態、水透過性及びアクアポリン遺伝子発現の変化
- プラントキャノピーアナライザによる植物面積指数の測定誤差とその葉群傾斜角への依存性
- 水稲の高温登熟障害とリン酸の関係について
- 水耕液の窒素濃度変化がイネの根の水透過性及びアクアポリン遺伝子発現に及ぼす影響
- 気候変化と栽培技術要因を考慮したイネの地域収量予測モデルの開発と20世紀後半の収量趨勢に関するモデル解析
- イネが環境に応じて水分量を調節するしくみ : 地上部からの蒸散要求に応じて根のアクアポリン発現量が変化