前縦隔に有茎性発育し,急速に再発した限局型線維性胸膜中皮腫の1例
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概要
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症例は55歳,女性.咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に近医で胸部異常陰影を指摘された.画像診断上前縦隔に腫瘍を認め,穿刺針生検で線維性胸膜中皮腫の診断を得た.24ヵ月前の検診時の胸部X線で右上縦隔に約3cm大の腫瘤を認めた.1992年4月22日胸骨正中切開で開胸.右縦隔胸膜と心嚢に強固に癒着しており,これを剥離して腫瘤を摘出した.腫瘤は重量545g,大きさ12.8×10.0×7.3cmで心嚢に癒着した部位に被膜欠損を認め,右腕頭静脈付近に一致する部位に茎が存在した.病理学的に腫瘍細胞に悪性所見は見られなかった.術後前縦隔に急速に再発し,同年7月15日再手術を施行した.腫瘤は心嚢内腔に浸潤しており,心嚢を合併切除した.再発腫瘤は重量160g,大きさ9.0×7.0×5.0cmであった.患者は再手術後約3ヵ月で心嚢内に腫瘤を形成し,心タンポナーデのため死亡した.縦隔内に有茎性に発育し,急速に増大発育した稀な症例であった.
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
- 1994-01-15
著者
-
清水 信義
岡山大学医学部腫瘍・胸部外科
-
宇高 徹総
岡山大学第2外科
-
宮出 喜生
厚生連府中総合病院外科
-
森山 重治
厚生連府中総合病院外科
-
宇高 徹総
厚生連府中総合病院外科
-
清水 信義
岡山大学医学部 第二外科
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