13. 災害ボランティア・今後のあり方を考える : 阪神淡路大震災からの教訓
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概要
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3月中旬に実施した被災地に設置された全避難所(704ヵ所)、及びボランティア本部(13ヵ所)を対象に、ボランティア活動と運営実態に関する調査結果をふまえ、今後の災害ボランティアのあり方について検討・提案を行う。 1. 被災者を支援したボランティア活動 地震直後30万人を越える避難者が発生し、その多くが1千ヵ所以上設置された避難所での厳しい生活を余儀なくされた。こうした避難者の生活を支援したのがボランティア活動であった。早いところでは地震発生の3日後には、避難所へボランティアが駆けつけていた。時間がたつにつれて、避難者の中の地域の民生員や自治会の役員、学校の教師、そしてボランティア等が避難所のリーダーとしての役割を担い、避難所の秩序維持や管理体制が整っていった。1月末になると、ボランティア活動のピークを迎え、想像をこえる数のボランティアが被災地へ入り、避難者での支援活動に加え、高齢者のケアや在宅避難者を対象とした支援活動等目的限定型のボランティア活動も活躍した。 2. ボランティア本部の活動 1月末からこうしたボランティア活動をコーディネイトする動きが見られ始めた。最も早くボランティア活動のコーディネーションが始まったのは神戸市長田区であり、1月19日に「西神戸YMCA」が設置された。その後1月21日に「芦屋市ボランティア委員会」25日に「須磨区ボランティア本部」等次々に被災地にボランティア本部が設置され、3月1日までに全体で13ヵ所の本部が開設しボランティア活動をコーディネイトしている。本部の設置場所は、区役所内や役所に隣接する公園にテントを張って活動を行っている。多くの本部は、行政と連携しながら一体的な活動を行ていった。4月に入ると、活動を支えていた学生ボランテァイが帰ってしまい、社会福祉協議会等地元ボランティア団体への引き継ぎが大きな課題となってきた。 3. ポランティア活動の課題と今後のあり方 以上の検討結果をふまえ、以下に示した災害ボランティアの課題と今後のあり方を提案する。(1) ボランティアの質の向上 (2) ボランティアリーダーの育成 (3) 災害時ボランティア活動システムの構築 (4) 行政の災害対策のすき間を埋めるボランティア活動 (5) 災害時の行政サービスレベルの明確化とボランティアの役割 (6) 「ボランティア情報センター」の設置 (7) 「ボランティアされる側の論理」をふまえたボランティア活動
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