二酸化チタン含有低濃度過酸化水素水による無髄歯漂白法
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概要
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無髄歯の漂白法として主流となっているwalking bleach法は,過ホウ酸ナトリウムと30%という高濃度の過酸化水素水を用いる.そのため,扱いには十分な注意を要し,かつ漂白回数を重ねると,歯根に外部吸収を起こす可能性があるといった問題点も指摘されている.最近注目されている二酸化チタン含有低濃度過酸化水素水は,office bleaching剤として開発され,安全かつ高い漂白効果を表せることがわかってきた.しかし無髄歯の漂白剤としての試みは,現在のところなされていない.今回われわれは,より安全で効果的な無髄歯漂白法を施行するため,生活歯漂白で最近注目されている二酸化チタン含有低濃度過酸化水素水を無髄歯に応用,一定時間ごとに歯冠部の色を測定し,効果について検証した.試料には,抜去後ただちに生理食塩水に保存したヒト抜去歯を用いた.漂白剤は,二酸化チタン低濃度過酸化水素水漂白剤ピレーネ^[○!R](三菱ガス化学)を用いた.光源にはハイパーライテル(クラレメディカル)を用いた.ピレーネを綿球に浸し,それを髄腔内に置き,光を髄腔内に向けて1分間照射した.これを計10回繰り返した(光照射計10分間).測色には分光式色差計SE2000(日本電色工業)を用い,歯冠部頬中央部を測定した.CIE1976L^*a^*b^*表色系を用いてL^*,a^*,b^*を求めた.測色は処理前,処理5分後,10分後に行った(処理前の値をL^*_0,a^*_0,b^*_0,処理5分後の値をL^*_5,a^*_5,b^*_5,処理10分後の値をL^*_<10>,a^*_<10>,b^*_<10>とする).各値から処理前後の差を求め,ΔE^*abを算出し,色の変化および漂白効果を判定した.L^*値において,L^*_5とL^*_<10>はL^*_0と比較し有意に増加した.b^*値において,b^*_5,b^*_<10>がb^*_0と比較し有意に減少した.色差値は,ΔE^*ab_5が3.84(SD±1.58),ΔE^*ab_<10>が6.15(SD±2.29)と非常に高い漂白効果を示した.以上の結果より,本研究の条件下において,ピレーネ^[○!R]は髄腔内からの無髄歯漂白に有効であり,より安全に漂白を行うことができることが示唆された.
- 2008-02-29
著者
-
平井 義人
東京歯科大学歯科保存学第三講座
-
中澤 妙衣子
東京歯科大学保存修復学講座
-
加藤 純二
東京歯科大学保存修復学講座
-
明石 豪
東京歯科大学保存修復学講座
-
倉田 浩志
三菱ガス化学株式会社東京研究所
-
平井 義人
東京歯科大学保存修復学講座
-
末森 豪
東京歯科大学保存修復学講座
-
五十嵐 章浩
東京歯科大学保存修復学講座
-
熊谷 ユキ
三菱ガス化学株式会社
-
加藤 純二
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野:東京歯科大学保存修復学講座
-
加藤 純二
東京歯科大学 歯科保存学第三講座
-
倉田 浩志
三菱ガス化学株式会社
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