二酸化チタン含有低濃度過酸化水素剤の漂白効果 : 各種光源の影響およびヒ卜抜去歯の漂白効果

概要

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近年開発された二酸化チタン含有低濃度過酸化水素漂白剤は,光触媒である二酸化チタンを加えたことで,低濃度の過酸化水素での漂白を可能としている.前回われわれは,ウシ抜去歯にこの漂白剤を応用し,さらに従来の高濃度過酸化水素漂白剤と効果を比較することで,表面粗さに影響を与えることなく安全かつ高い漂白効果を得ることができたと報告した.今回われわれは,光源の差異による二酸化チタン含有低濃度過酸化水素漂白剤の漂白効果を,ヘマトポルフィリン染色紙を用いて調べた.また,ヒト抜去歯に対する漂白効果について,測色法を用いて調べた.漂白剤は二酸化チタン含有3.5%過酸化水素漂白剤ピレーネ^[○!R](三菱ガス化学,以下,ピレーネ)を用いた.測色には分光色差計SE2000(日本電色工業)を用い,CIE1976 L^*a^*b^*表色系のL^*,a^*,b^*を測定した.まず,ヘマトポルフィリン染色紙に対する光源の漂白効果の比較検討を行った.3種類の光源(ハイパーライテル:クラレメディカル,オプチラックス501:デメトロン,ペンキュア:モリタ)を用いた.その結果,ハイパーライテルが一番色の変化が大きく,ペンキュアが一番低かった.次に色の変化が一番大きかったハイパーライテルを光源とし,ヒト抜去歯に対する漂白効果を検討した.ヒト抜去歯は,抜去後ただちに生理食塩水に保存したものを用いた(n=10).測色は処理前,処理1分後,5分後,10分後に行った(処理前の値をL^*_0,a^*_0,b^*_0,処理1分後の値をL^*_1,a^*_1,b^*_1,5分後の値をL^*_5,a^*_5,b^*_5,10分後の値をL^*_<10>,a^*_<10>,b^*_<10>とする).各値から処理前後の差を求め,ΔE^*abを算出し,色の変化および漂白効果を判定した.L^*値において,L^*_5とL^*_<10>はL^*_0と比較し有意に増加した.a^*値は時間の経過とともにわずかに増加傾向を示したが,有意な変化は認められなかった.b^*値において,b^*_1,b^*_5,b^*_<10>がb^*_0と比較し有意に減少した.色差位は,ΔE^*ab_1が3.57(SD±1.45),ΔE^*ab_5が5.44(SD±1.60),E^*ab_<10>が7.50(SD±1.88)と非常に高い漂白効果を示した.以上の結果より,ハイパーライテルはピレーネに対して漂白効果の高い光源であり,ピレーネは漂白剤として高いポテンシャルをもつことが示唆された.
2007-10-31

二酸化チタン含有低濃度過酸化水素剤の漂白効果 : 各種光源の影響およびヒ卜抜去歯の漂白効果

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