コーポレート・ガバナンス政策論とコーポレート・ガバナンス原則論
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概要
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コーポレート・ガバナンス原則の策定が活発化しているのは、経営者にとって原則が極めて企業経営の実践に有効であるからということと、コーポレート・ガバナンスを研究・実践・監視する者にとって原則が議論の集約物としての意見表明を形として表せるということ、の2つに理由を求めることができる。このような原則の性格から脚光を浴びているのであるが、原則の策定経緯や策定主体、くわえて策定目的を詳細に検討すると、原則が企業経営に与えている今まで明らかとなっていない任務と使命が浮き上がってきた。その任務と使命は、(1)原則が企業間における緩やかな統合的役割を有していることと、(2)原則が各国間の企業法制度に関する条約としての機能を有するに至りつつあることである。本稿では、主に、国(政府)と国(政府)による企業制度をグローバル化するにあたって原則が用いられるだけではなく、経済協力という極めて政治的な分野でも原則が活用されている現状を明らかにしている。そして、今やコーポレート・ガバナンスは、国レベルの提携において政策的に論じられ活用されている現状が解明されたのである。原則を中心としてコーポレート・ガバナンスを研究すると、コーポレート・ガバナンスは、極めて政策的に実践されていることが理解できる。本稿で論を進めるにあたって、コーポレート・ガバナンス政策、あるいはコーポレート・ガバナンス政策論という用語が度々登場するが、このことは原則の本研究を進めるなかで生まれた概念である。コーポレート・ガバナンスは、コーポレート・ガバナンスの視点から企業本質論を語ることよりも、如何にして現代における企業経営活動の逆機能を防止し改善していくのかという制度論を論じなくてはならないという課題が出現することになったのである。
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