自由の対立
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概要
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会社経営活動における「自由」は、最高度に尊重されなければならない。この一見して当然と思われる概念が、近年、疎かにされている。だからこそ、講学上で研究者が会社の本質を語る際に、例えば「会社は誰のものか」といった問いに対して、様々な論議が未だに巻き起こる。また、経営実践の場でも、会社と会社の間の支配権争いに際して、最高裁判所の判断が個々の事例に対して揺れるなど、経営者間に種々の混乱が起こっているのである。一方、近年では、会社経営活動における「自由」の真反対概念として、会社経営活動における「責任」が、声高らかに主張されている。これは、最近でも続発している企業不祥事を無くすため、あるいは防止する必要があるためであろうと思われる。本稿では、会社の「自由」と「責任」について検討し、今後の会社制度の議論の基礎的土台を提供しようとするものである。企業経営の本質を理解するためには、会社の成り立ちや制度的変遷史を検討するだけでは足りない。人と会社の関係、および社会構造と企業の関係の両側面を中心に深く検討を重ねなければならないのである。そして、そこから浮かび上がった「自由の対立」ことこそ、現代の企業経営に起こる事象の根本的解決の手がかりになるのである。最終的に本稿では、まず責任論に達するのではなく、自由と自由の対立による不祥事であると捉え、調整を行うプロセスを大切にするする必要があるのである。そうすることで、現代の多くの経営課題を解決に導くことが可能となることを指摘している。そして、本稿で論じた会社観に則って経営学における諸問題の解決と、経営学の学問的発展に全力で取り組んでいかねばならないことを強く主張するものである。
著者
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