白への恐怖、黒へのあこがれ : ウィンキン・ド・ウォードの標題紙(1)
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概要
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ウィンキン・ド・ウォードはイギリスでその生涯を印刷、出版に捧げ、総点数700点を越える本を出版している。この点数を出版すること自体大変な努力が求められるが、出版するにあたり努力していたことがもう一つあった。それは標題紙の採用と、それをどの様に表示するかという問題である。彼は当初から試行を繰り返したが、1501年になると文字表示だけの標題紙を止めただけでなく、その後16年に渡って使用を中止してしまう。それに代わって用いたのが木版の絵を併用した表示形であった。1517年になると再び文字表示だけの標題紙が使われ出すが、この標題紙表示には明白な特徴が表れていた。それは、木版の絵を併用した表示にも見られる「ページいっぱいの表示」であった。そこでこの表示思想に基づいて、ド・ウォードの使用した標題紙を調べると、先の目的を達成するためにさまざまな工夫の施されていることが分かる。それらとは木版の絵、木版の大型文字、1行や2行と言った少数行の書名を挿入できる空洞の「巻き軸」、さらには「出版地、出版者名」や「'here'説明文」といった追加表示である。これらは標題紙の飾りとみなされがちである。しかしそれらはド・ウォードにとって「ページいっぱいの表示」をするための工夫にすぎなかったのである。(続く)
- 跡見学園女子大学の論文
著者
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